FLAMINGO試験
(後期第Ⅲ相臨床試験:海外データ)

「禁忌を含む使用上の注意」等はドラッグインフォメーションをご参照ください。
本剤は海外臨床データに基づき承認されたため、審査で評価された海外臨床試験の結果を紹介します。そのため、一部、国内未承認の薬剤の成績が含まれています。
試験概要
【目的】
抗HIV薬による治療経験のない成人HIV-1感染症患者において、ダルナビル/リトナビル(DRV/r)を対照薬として、テビケイ(DTG)の非劣性を検証する。
【対象】
抗HIV薬による治療経験のない成人HIV-1感染症患者485例注(HIV-1 RNA量≧1,000copies/mL)
【方法】
後期第Ⅲ相臨床試験、多施設、無作為化、非盲検、並行群間実薬対照比較検証試験、非劣性試験
HIV-1感染症患者を、テビケイ50mgを1日1回投与するテビケイ群と、DRV/r 800mg/100mgを1日1回投与するDRV/r群の2群に無作為に割り付け、投与48週後及び96週後の有効性について、DRV/r群に対するテビケイ群の非劣性を検証(投与48週後)及び検討(非劣性マージン12%)するとともに、安全性についても評価した。有効性についてはmITT-E集団※1とper-protocol集団※2の両方で非劣性が示された場合、引き続き優越性解析を行うことがプロトコールで規定されていた。核酸系逆転写酵素阻害剤(NRTI)は、アバカビル/ラミブジン(ABC/3TC)600mg/300mgまたはテノホビル/エムトリシタビン(TDF/FTC)300mg/200mgをそれぞれ配合剤として1日1回投与した。
【評価項目】
有効性:
主要評価項目:
投与48週後におけるHIV-1 RNA量<50copies/mLを達成した患者の割合※3
副次評価項目:
投与96週後におけるHIV-1 RNA量<50copies/mLを達成した患者の割合※3
投与48週後/96週後におけるベースライン時のHIV-1 RNA量別・背景療法(NRTI)別HIV-1 RNA量<50copies/mLを達成した患者の割合、CD4陽性リンパ球数の変化量 など
ウイルス学的エンドポイント:
耐性変異の発現
安全性:
投与48週後/96週後における副作用発現率、腎機能への影響 など
【解析計画】
テビケイ群及びDRV/r群において、投与48週後/96週後にHIV-1 RNA量<50copies/mLを達成した患者の割合の両群間の差における95%CIの下限が-12%より大きい場合、テビケイ群がDRV/r群に対して非劣性であると検証(投与48週後)及び検討した。さらに、mITT-E集団とper-protocol集団の両方で非劣性が示された場合、引き続き優越性解析を行うことがプロトコールで規定されていた。優越性については、95%CIの下限が事前に設定した基準である0%を上回っている場合に検証(投与48週後)及び検討した。なお、事前に規定されているサブグループ(ベースライン時のHIV-1 RNA量別・背景療法(NRTI)別)の解析を行った。さらに、投与24週あるいは24週後以降にHIV-1 RNA量>200copies/mLが2回連続して検出された場合をウイルス学的治療失敗(PDVF※5)とプロトコールで規定し、PDVFに至った症例における投与48週後/96週後の耐性変異の発現を検討した。
【試験デザイン】
注 GCP違反の1施設の1例を除外
※1 mITT-E集団:ITT-E集団からGCP違反の1施設の1例を除外した集団
※2 per-protocol集団:mITT-E集団からプロトコール逸脱例を除外した集団
※3 mITT-E集団におけるFDA Snapshotアルゴリズム解析を実施(層別解析にはCochran- Mantel-Haenszel Weightを用いた)
※4 ART:多剤併用療法(Anti Retroviral Therapy)
※5 PDVF(Protocol Defined Virologic Failure):プロトコールで規定されたウイルス学的治療失敗
患者背景:mITT-E集団
テビケイの抗ウイルス効果(主要及び副次評価項目)
投与48週後にHIV-1 RNA量<50copies/mLを達成した患者の割合は、mITT-E集団においてテビケイ群で90%であり、DRV/r群に対するテビケイ群の非劣性が検証されました[調整後の差※1:7.1%(95%CI:0.9, 13.2)]。また、per-protocol集団においても、テビケイ群で91%であり、DRV/r群に対するテビケイ群の非劣性が検証されました[調整後の差※1:7.4%(95%CI:1.4, 13.3)]。そこで、優越性解析を行ったところ、DRV/r 群に対するテビケイ群の優越性[調整後の差※1:mITT-E集団7.1%(95%CI:0.9, 13.2)、per-protocol集団7.4%(95%CI:1.4, 13.3)、mITT-E集団 P=0.025(両側検定)]が検証されました。
テビケイのウイルス学的治療アウトカム(主要及び副次評価項目)
投与48週及び96週におけるテビケイ群のウイルス学的ノンレスポンスは、それぞれ15例、19例でした。
ウイルス学的治療アウトカム(投与48週及び96週)(主要及び副次評価項目)

(FDA Snapshotアルゴリズム)
注1 ウイルス学的治療成功の定義:各エンドポイント時にHIV-1 RNA量<50copies/mLを達成した患者
注2 各エンドポイント以前に、その他の理由 (同意の撤回、フォローアップ不可、プロトコールからの逸脱等)で試験薬剤の投与を中止しており、最終来院時のHIV-1 RNA量<50copies/mL未達成であった患者
注3 各エンドポイント以前に認められた有害事象または死亡による試験中止のため、各エンドポイント時のウイルス学的データが欠損となった患者
注4 各エンドポイント以前に、その他の理由 (同意の撤回、フォローアップ不可、プロトコールからの逸脱等)で試験薬剤の投与を中止しており、最終来院時のHIV-1 RNA量<50copies/mLであった患者、または最終来院時のウイルス学的データが欠損となった患者
注5 試験薬剤の投与を継続しているが、各エンドポイント時のウイルス学的データが欠損となった患者
テビケイの耐性変異の発現(ウイルス学的エンドポイント)
テビケイ群では、INSTI、NRTI及びPIに対する耐性変異はいずれも0例でした。
安全性
FLAMINGO試験における投与96週後の有害事象発現率は、テビケイ群92%(222/242例)、DRV/r群90%(217/242例)でした。なお、重篤な有害事象がテビケイ群で36例(感染症及び寄生虫症9件、胃腸障害6件、精神障害6件、傷害、中毒及び処置合併症5件、心臓障害4件、神経系障害4件、筋骨格系及び結合組織障害2件、呼吸器、胸郭及び縦隔障害2件)、DRV/r群で21例(感染症及び寄生虫症10件、胃腸障害2件、精神障害1件、傷害、中毒及び処置合併症1件、心臓障害1件、神経系障害1件、筋骨格系及び結合組織障害2件、免疫系障害2件)に認められました。
また、投与中止に至った有害事象がテビケイ群で7例[胃腸障害2件、神経系障害2件、感染症及び寄生虫症1件、精神障害1件、腎及び尿路障害1件、良性、悪性及び詳細不明の新生物(嚢胞及びポリープを含む)1件]、DRV/r群で15例(胃腸障害3件、神経系障害3件、感染症及び寄生虫症2件、精神障害2件、一般・全身障害及び投与部位の状態異常2件、臨床検査値異常2件、腎及び尿路障害1件、皮膚及び皮下組織障害2件、免疫系障害1件、生殖系及び乳房障害1件)に認められました。
TVCX00134-D1902D 改訂年月2019年2月