VIKING-3試験
(第Ⅲ相臨床試験:海外データ)

「禁忌を含む使用上の注意」等はドラッグインフォメーションをご参照ください。
本剤は海外臨床データに基づき承認されたため、審査で評価された海外臨床試験の結果を紹介します。そのため、一部、国内未承認の薬剤の成績が含まれています。
試験概要
【目的】
HIVインテグラ―ゼ阻害剤(INSTI)に耐性を有する成人HIV-1感染症患者において、背景療法及び最適背景療法を併用した場合のテビケイ(DTG)の有効性を検証するとともに、安全性(忍容性)を検討する。
【対象】
INSTIに耐性を有する成人HIV-1感染症患者183例(HIV-1 RNA量≧500copies/mL)
なお、対象患者183例のうち、133例に試験開始時にINSTIに対する耐性変異が認められ、50例に試験開始前にINSTIに対する耐性を示す治療歴のみがあった。
【方法】
第Ⅲ相臨床試験、多施設、非盲検非対照検証試験
HIV-1感染症患者にテビケイ50mg 1日2回投与(BID)し、投与7日目までは以前からの背景療法を継続し、投与8日目以降は最適背景療法(OBR※1)に変更し、投与8日目及び24週後の有効性について検証するとともに、安全性についても評価した。
【評価項目】
有効性:
主要評価項目:
テビケイ(BID)投与8日目におけるベースライン時からのHIV-1 RNAの変化量※2
投与24週後におけるHIV-1 RNA量<50copies/mLを達成した患者の割合※3
副次評価項目:
投与8日目におけるベースライン時の耐性変異別HIV-1 RNAの変化量※2、ベースライン時からのHIV-1 RNA量≧1 log10 copies/mL減少した患者の割合※2
投与24週後におけるベースライン時の耐性変異別HIV-1 RNA量<50copies/mLを達成した患者の割合※3、CD4陽性リンパ球数の変化量 など
ウイルス学的エンドポイント:
耐性変異の発現
安全性:
投与24週後における副作用発現率、腎機能への影響 など
【解析計画】
主要評価項目の評価には、1標本t検定(有意水準(両側):5%)を用いた。サブグループ解析として、ベースライン時の背景因子(INSTIに対する耐性変異別)の評価を単変量解析により行うことを事前に規定した。効果に対する影響因子については多変量回帰分析を行い、投与8日目には線形回帰モデル、投与24週目にはロジスティック回帰モデルを使用した。
さらに、ウイルス学的無効(投与16週までのHIV-1 RNA量減少<1log10 copies/mL(<400copies/mLの場合を除く)が連続して、または投与24週時以降にHIV-1 RNA量≧400copies/mLが検出された場合)及びウイルス学的リバウンド(HIV-1 RNA量<400copies/mLに至った後にHIV-1 RNA量≧400copies/mLに再上昇した場合、HIV-1 RNA量最低値が≧400copies/mLの場合に、最低値よりも>1log10 copies/mLの上昇が確認された場合)が認められた場合をウイルス学的治療失敗(PDVF※7)とプロトコールで規定し、PDVFに至った症例における投与24週後の耐性変異の発現を検討した。
【試験デザイン】
※1 OBR:Optimised Background Regimen
※2 LOCFDB(Last Observation Carried Forward Discontinuation = Baseline) データセットによる解析
※3 FDA Snapshotアルゴリズム解析
※4 EVG:elvitegravir、単剤は国内未承認
※5 ART:多剤併用療法 (Anti Retroviral Therapy)
※6 OSS:Overall Susceptibility Score 背景療法の全感受性スコア(表現型及び遺伝子型耐性の合算)
※7 PDVF(Protocol Defined Virologic Failure):プロトコールで規定されたウイルス学的治療失敗
患者背景:ITT-E集団
テビケイのベースライン時からの HIV-1 RNA量≧1 log10 copies/mL減少した患者の割合(投与8日目)(副次評価項目、サブグループ解析)
投与8日目において、HIV-1 RNA量≧1 log10 copies/mL減少した患者の割合※は、Q148H/K/R変異なし群では92%(114/124例)、Q148及び二次変異1カ所群では71%(25/35例)、Q148及び二次変異2カ所以上群では45%(9/20例)でした。
テビケイの抗ウイルス効果(投与24週後)(主要及び副次評価項目、サブグループ解析)
投与24週後において、HIV-1 RNA量<50copies/mLを達成した患者の割合は69%(126/183例)でした。
HIV-1 RNA量<50copies/mLを達成した患者の割合の推移(投与24週)(主要評価項目:検証された結果)

ベースライン時におけるINSTIに対する耐性変異別HIV-1 RNA量<50copies/mLを達成した患者の割合(投与24週)(副次評価項目、サブグループ解析)
ベースライン時の耐性変異別に抗ウイルス効果を評価した結果、投与24週におけるHIV-1 RNA量<50copies/mLを達成した患者の割合は、Q148H/K/Rの変異が認められなかった患者で79%(100/126例)、Q148及び二次変異1カ所の変異が認められた患者で58%(21/36例)、Q148及び二次変異2カ所以上の変異が認められた患者では24%(5/21例)でした。

注1 INSTIに対する一次変異(N155H、Y143C/H/R、T66A、E92Q)またはINSTIに対する耐性を示す治療歴のみを有する患者が含まれている
注2 G140A/C/S、E138A/K/T、L74I
テビケイの免疫学的効果(副次評価項目)
投与24週後におけるCD4陽性リンパ球数の変化量(中央値)は+61cells/mm3でした。
テビケイのウイルス学的治療アウトカム(主要評価項目)
投与24週におけるウイルス学的ノンレスポンスは、50例(27%)であり、投与24週にウイルス学的データが得られなかった患者は7例(4%)でした。
ウイルス学的治療アウトカム(投与24週)(主要評価項目:検証された結果)

(FDA Snapshotアルゴリズム)
BID:1日2回投与
注1 ウイルス学的治療成功の定義:各エンドポイント時にHIV-1 RNA量<50copies/mLを達成した患者
注2 効果判定は治験担当医師の裁量に基づく
注3 各エンドポイント以前に、その他の理由 (フォローアップ不可、プロトコールからの逸脱)で試験薬剤の投与を中止しており、最終来院時のHIV-1 RNA量<50copies/mL未達成であった患者
注4 有害事象の発現により抗レトロウイルス療法の背景療法を変更した患者は除く
注5 各エンドポイント以前に認められた有害事象または死亡による試験中止のため、各エンドポイント時のウイルス学的データが欠損となった患者。1例は、進行性多巣性白質脳症により試験から脱落した後、死亡した。
注6 各エンドポイント以前に、その他の理由 (同意の撤回、フォローアップ不可)で試験薬剤の投与を中止しており、最終来院時のHIV-1 RNA量<50copies/mLであった患者、または最終来院時のウイルス学的データが欠損となった患者
安全性
VIKING-3試験における投与24週後の副作用発現率は27%(50/183例)でした。なお、重篤な有害事象が31例[感染症及び寄生虫症14件、肝胆道系障害5件、神経系障害4件、胃腸障害、良性、悪性及び詳細不明の新生物(嚢胞及びポリープを含む)、呼吸器、胸郭及び縦隔障害各3件、心臓障害、一般・全身障害及び投与部位の状態異常、代謝及び栄養障害、腎及び尿路障害、皮膚及び皮下組織障害各2件、免疫系障害、臨床検査値異常、生殖系及び乳房障害、血管障害各1件]に認められました。死亡例は1例[進行性多巣性白質脳症(薬剤関連性なし)]認められました。また、投与中止に至った有害事象が6例(臨床検査値異常3件、皮膚及び皮下組織障害2件、肝胆道系障害、神経系障害各1件)に認められました。
TVCX00134-D1902D 改訂年月2019年2月