臨床成績(海外データ)(EFFICACY/SAFETY)
「警告、禁忌を含む使用上の注意」等はドラッグインフォメーションをご参照ください。
本剤は海外臨床データに基づき承認されたため、審査で評価された海外臨床試験の結果を紹介します。そのため、一部、国内未承認の薬剤の成績が含まれています。


STRIIVING試験(第Ⅲb/Ⅳ相臨床試験)(海外データ)
ウイルス学的抑制が得られている成人HIV感染症患者を対象とした無作為化非盲検比較検証試験(非劣性試験)
試験概要
【目的】
ウイルス学的抑制が得られている成人HIV感染症患者において、他の抗レトロウイルス療法(ART)からドルテグラビルをベースとした固定用量1日1回投与の治療法である「トリーメク」(ドルテグラビル/アバカビル/ラミブジン:DTG/ABC/3TC)へ切り替えた場合の有効性を検証するとともに、安全性、忍容性を評価する。
【対象】
ウイルス学的抑制が得られている成人HIV感染症患者533例(ベースライン時の血漿中HIV-1 RNA量<50copies/mL)
【方法】
多施設共同、無作為化、非盲検、実薬対照、並行群間比較検証試験(非劣性試験)
対象患者を、トリーメクⓇ(DTG/ABC/3TC:50mg/600mg/300mg)を1日1回投与するDTG/ABC/3TC Early Switch群(以降、Early Switch群)と現在のARTを24週間継続投与した後、DTG/ABC/3TC(50mg/600mg/300mg)の1日1回投与に変更するART継続(24週)→DTG/ABC/3TC Late Switch群(以降、24週まではART継続(24週)群、24〜48週まではLate Switch群)の2群に無作為に割り付けた。投与24週後の有効性について、ART継続(24週)群に対するEarly Switch群の非劣性を検証(非劣性マージン10%)するとともに、投与48週後の有効性、投与24週後/48週後の安全性及び忍容性についても評価した。
【評価項目】
有効性:
主要評価項目:
投与24週における血漿中HIV-1 RNA量<50copies/mLを維持した患者の割合(ITT-E集団)※1
副次評価項目:
投与48週における血漿中HIV-1 RNA量<50copies/mLを維持した患者の割合(Late Switch ITT-E集団)※2、投与24週/48週におけるベースライン時からのCD4陽性リンパ球数の変化量 など
ウイルス学的エンドポイント:
耐性変異の発現
ヘルスアウトカムエンドポイント:
投与24週/48週における治療満足度への影響 など
安全性:
投与24週後/48週後における有害事象の発現率及び重症度、有害事象による治療中止率 など
【解析計画】
投与24週後の有効性については、非劣性マージンを10%とし、ART継続(24週)群に対するEarly Switch群の非劣性を検証した。なお、両群の奏効率は、Snapshotアルゴリズム解析によって算出し、両群間の奏効率の差は、Cochran-Mantel-Haenszel weightを用いた層別解析に基づいて調整後、算出した。主要評価項目の評価においてはITT-E集団※3を用いたが、主要評価項目の感度分析にはper-protocol集団※4を用いた。また、投与48週後の有効性については、Late Switch ITT-E集団※5を用いてSnapshotアルゴリズム解析によって評価した。さらに、無作為割り付け後に血漿中HIV-1 RNA量≧400copies/mLが2回連続検出された場合をウイルス学的治療失敗(PDVF※6)とプロトコールで規定し、PDVFに至った症例における投与24週後/48週後の耐性変異の発現を検討した。
【試験デザイン】

※1 ITT-E集団におけるFDA Snapshotアルゴリズム解析を実施(層別解析にはCochran-Mantel-Haenszel weightを用いた)
※2 Late Switch ITT-E集団におけるFDA Snapshotアルゴリズム解析を実施
※3 ITT-E集団:無作為化され、1回以上治験薬を投与された集団
※4 per-protocol集団:ITT-E集団からプロトコール逸脱例を除外した集団
※5 Late Switch ITT-E集団:ITT-E集団から24週間ART継続できなかったART継続(24週)群の症例を除外した集団
※6 PDVF(Protocol Defined Virologic Failure):プロトコールで規定されたウイルス学的治療失敗
抗ウイルス効果(主要及び副次評価項目)
投与24週における血漿中HIV-1 RNA量<50copies/mLを維持した患者の割合は、Early Switch群で84%(221/262例)、ART継続(24週)群で88%(238/271例)であり、ART継続(24週)群に対するEarly Switch群の非劣性が検証されました[調整後の差※1:-3.5%(95%CI:-9.4, 2.5):ITT-E集団]。
血漿中HIV-1 RNA量<50copies/mLを維持した患者の割合

FDA Snapshotアルゴリズム解析
投与48週における血漿中HIV-1 RNA量<50copies/mLを維持した患者の割合は、Early Switch群で80%(209/262例)、Late Switch群で91%(216/237例)でした。
血漿中HIV-1 RNA量<50copies/mLを維持した患者の割合

FDA Snapshotアルゴリズム解析
CD4陽性リンパ球数の変化(副次評価項目)
CD4陽性リンパ球数のベースライン※時からの変化量(中央値)は、投与24週ではEarly Switch群で+51.0cells/mm3、ART継続(24週)群で+11.0cells/mm3であり、投与48週ではEarly Switch群で+47.5cells/mm3、Late Switch群で+34.0cells/mm3でした。
ベースライン※時からのCD4陽性リンパ球数の変化量
(投与24週後及び48週後、ITT-E集団及びLate Switch ITT-E集団)(副次評価項目)

※ Early Switch群においては試験開始直前のデータを、Late Switch群においては投与24週時Switch直前のデータをベースラインとして用いた。
STRIIVING試験
〈参考情報〉治療満足度への影響(ヘルスアウトカムエンドポイント)
投与24週後におけるEarly Switch群のHIV TSQ*スコア(総スコア、平均値±SE)のベースライン時からの変化量は2.6±0.39ポイントであり、Early Switch群で有意差を示しました(P<0.001※1)。また、全般的満足度/臨床的サブスケールスコア※2及びライフスタイル/治療のしやすさサブスケールスコア※3においても、Early Switch群で有意差を示しました(P=0.005※1及びP<0.001※1)。
投与24週後のHIV TSQ*スコア(ベースライン時からの変化量)(ITT-E集団)

*TSQ:治療満足度質問票
※2:質問項目 1.現在の治療法、2.コントロール、3.副作用、9.他人への勧め、10.継続における平均スコア
※3:質問項目 4.治療による条件・制限、5.簡便性、6.融通性、7.HIVに関する理解、8.ライフスタイルにおける平均スコア
投与48週後におけるEarly Switch群及びLate Switch群のHIV TSQ*スコア(総スコア、平均値±SD)のベースライン※1時からの変化量はそれぞれ3.4±9.48ポイント、3.4±8.73ポイントでした。
投与48週後のHIV TSQ*スコア(ベースライン※1時からの変化量)(Late Switch ITT-E集団)

*TSQ:治療満足度質問票
※1:Early Switch群においては試験開始直前のデータを、Late Switch群においては投与24週時Switch直前のデータをベースラインとして用いた。
※2:質問項目 1.現在の治療法、2.コントロール、3.副作用、9.他人への勧め、10.継続における平均スコア
※3:質問項目 4.治療による条件・制限、5.簡便性、6.融通性、7.HIVに関する理解、8.ライフスタイルにおける平均スコア
●HIVにおける治療満足度質問票(HIV TSQ)
患者さんが受けているHIV感染症の治療法と患者さんの過去数週間の体験に関する以下の質問を各0~6点(計0~60点:高得点ほど満足度が高い)で評価

SAILING試験(第Ⅲ相臨床試験)(海外データ)
抗HIV薬による治療経験があり、かつHIVインテグラーゼ阻害剤の投与経験のない成人HIV感染症患者を対象とした無作為化二重盲検比較検証試験(非劣性試験)
試験概要
【目的】
背景療法を併用した場合において、ラルテグラビル(RAL)を対照薬として、ドルテグラビル(DTG)の非劣性を検証する。
【対象】
抗HIV薬による治療経験があり、かつHIVインテグラーゼ阻害剤(INSTI)の投与経験のない成人HIV-1感染症患者719例(ベースライン時の血漿中HIV-1 RNA量>400copies/mL※1)
【方法】
多施設共同、無作為化、ダブルダミーによる二重盲検並行群間比較検証試験(非劣性試験)
対象患者を、DTG 50mg1日1回+背景療法※2を行うDTG群またはRAL 400mg1日2回+背景療法※2を行うRAL群の2群に無作為に割り付け、投与24週後及び48週後の有効性について、RAL群に対するDTG群の非劣性を検証(投与48週後)及び検討(非劣性マージン12%)するとともに、安全性についても評価した。有効性については、mITT-E集団※3及びper-protocol集団※4の両方で非劣性が示された場合、引き続き優越性解析を行った。
【評価項目】
有効性:
主要評価項目:
投与48週後における血漿中HIV-1 RNA量<50copies/mLを達成した患者の割合※5
副次評価項目:
投与24週後における血漿中HIV-1 RNA量<50copies/mLを達成した患者の割合※5 など
ウイルス学的エンドポイント:
耐性変異の発現
安全性:
投与24週後/48週後における副作用発現率 など
【解析計画】
DTG群及びRAL群において、非劣性マージンを12%とし、投与24週後/48週後に血漿中HIV-1 RNA量<50copies/mLを達成した患者の割合の両群間の差における95%CIの下限が-12%より大きい場合、DTG群がRAL群に対して非劣性であると検証(投与48週後)及び検討した。さらに、mITT-E集団とper-protocol集団の両方で非劣性が示された場合、引き続き優越性解析を行うことがプロトコールで規定されていた。優越性については、95%CIの下限が事前に設定した基準である0%を上回っている場合に検証(投与48週後)及び検討した。なお、両群の奏効率は、Snapshotアルゴリズム解析によって算出し、両群間の奏効率の差は、Cochran-Mantel-Haenszel Weightを用いた層別解析に基づいて調整後、算出した。主要評価項目について、事前に規定されているサブグループの解析を行った。さらに、ウイルス学的無効(投与16週目までの血漿中HIV-1RNA量減少が<1 log10copies/mL(<400copies/mLの場合を除く)、または投与24週目以降に血漿中HIV-1 RNA量≧400copies/mLが検出された場合)及びウイルス学的リバウンド(血漿中HIV-1 RNA量<400copies/mLに至った後に血漿中HIV-1 RNA量≧400copies/mLに再上昇した場合、血漿中HIV-1 RNA量最低値が≧400copies/mLの時に、最低値よりも>1 log10copies/mLの上昇が確認された場合)が認められた場合をウイルス学的治療失敗(PDVF※6)とプロトコールで規定し、PDVFに至った症例における投与48週後の耐性変異の発現を検討した。
【試験デザイン】

※1 スクリーニング時に血漿中HIV-1 RNA量≧1,000copies/mLの場合を除き、2回連続で血漿中HIV-1 RNA量>400copies/mL検出
※2 2剤までとし、少なくとも1剤は感受性のある薬剤を使用
※3 mITT-E集団:ITT-E集団からGCP(Good Clinical Practice)違反の1施設の4例を除外した集団
※4 per-protocol集団:mITT-E集団からプロトコール逸脱例を除外した集団
※5 mITT-E集団におけるFDA Snapshotアルゴリズム解析を実施(層別解析にはCochran-Mantel-Haenszel Weightを用いた)
※6 PDVF(Protocol Defined Virologic Failure):プロトコールで規定されたウイルス学的治療失敗
ITT-E集団:無作為化され、1回以上治験薬を投与された集団
抗ウイルス効果(主要及び副次評価項目)
投与48週後に血漿中HIV-1 RNA量<50copies/mLを達成した患者の割合は、mITT-E集団においてDTG群で71%であり、RAL群に対するDTG群の非劣性が検証されました[調整後の差※1:7.4%(95%CI:0.7, 14.2)]。また、per-protocol集団においても、DTG群で73%であり、RAL群に対するDTG群の非劣性が検証されました[調整後の差※1:7.5%(95%CI:0.6, 14.3)]。そこで、優越性解析を行ったところ、RAL群に対するDTG群の優越性[調整後の差※1:mITT-E集団7.4%(95%CI:0.7, 14.2)、per-protocol集団7.5%(95%CI:0.6, 14.3)、mITT-E集団P=0.030(両側検定)]が検証されました。
血漿中HIV-1 RNA量<50copies/mLを達成した患者の割合の推移:mITT-E集団(副次評価項目)

投与中止に至った有害事象発現率
治療経験のあるHIV感染症患者を対象とした臨床試験(海外データ)
各試験における投与中止に至った有害事象発現率

安全性
STRIIVING試験
本試験における副作用発現率は、投与24週後ではEarly Switch群で21%(56/263例)、ART継続(24週)群で1%(3/270例)であり、投与48週後ではEarly Switch群で22%(57/262例)、Late Switch群で14%(32/237例)でした。なお、重篤な有害事象は、Early Switch群では投与24週において6例(不全片麻痺、感覚鈍麻、会話障害、蜂巣炎、脳血管障害、殺人、自殺企図、うっ血性心不全各1件)、投与24~48週において5例(高血圧、細菌性肺炎、喘息、腎盂腎炎、胃腸炎、非心臓性胸痛各1件)、ART継続(24週)群では投与24週において5例(蜂巣炎、髄膜炎、椎間板変性症、腎結石症、大動脈血栓症各1件)、Late Switch群では投与48週において6例(皮下組織膿瘍、憩室炎、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加、大腿骨骨折、心筋梗塞、肺塞栓各1件)に認められました。また、死亡はEarly Switch群で1例[他殺(薬剤関連性なし)]、Late Switch群で1例[心筋梗塞(薬剤関連性なし)]に認められました。
主な副作用の発現率(いずれかの群における発現率≧2%)

投与24週までに投与中止に至った有害事象は、Early Switch群でGrade 1が12件、Grade 2が16件、Grade 3が1件でした。10例中2例は薬剤との関連はありませんでした。また、発現時期は投与1~2週に多いことが示されました。
Early Switch群における投与中止に至った有害事象(投与24週後)

a:他殺を除き、重篤な有害事象は認められなかった。 b:薬剤とは関係のない有害事象。
投与24〜48週までに投与中止に至った有害事象は、Late Switch群でGrade 1が3件、Grade 2が3件、Grade 3が2件、Grade 4が1件でした。
Late Switch群における投与中止に至った有害事象(投与48週後)

SAILING試験
本試験における投与48週後の副作用発現率は、DTG群20%(73/357例)、RAL群23%(85/362例)でした。なお、重篤な副作用がDTG群で2例(肝毒性、筋炎、急性腎不全各1件)、RAL群で4例(口腔粘膜水泡形成、膵炎、肝炎、自殺念慮、かゆみを伴う発疹各1件)に認められました。死亡例は、RAL群で3例[転移性腺がん、多臓器不全、子宮頸がん各1例(薬剤関連性なし)]に認められました。また、投与中止に至った副作用がDTG群で3例(トランスフェラーゼ増加、肝毒性、筋炎、急性腎不全各1件)、 RAL群で5例(悪心、口腔粘膜水泡形成、自殺念慮、膵炎、肝炎各1件)に認められました。
主な副作用の発現率(いずれかの群における発現率≧2%)

【トリーメク配合錠の用法・用量】
通常、成人には1回1錠(ドルテグラビルとして50mg、アバカビルとして600mg及びラミブジンとして300mgを含有)を食事の有無にかかわらず1日1回経口投与する。
TRMQ00103-D1902D 改訂年月2019年2月