初回レジメンについて
厚生労働省 抗HIV治療ガイドライン1)(2018年3月版)
インテグラーゼ阻害剤を含むレジメンは、わが国の「抗HIV治療ガイドライン1)(2018年3月版)」及び、世界の主要なガイドライン(DHHS2)、IAS-USA3)及びEACS4)ガイドライン)において、初回治療として選択すべき薬剤として推奨されています。
初回治療として選択すべき抗HIV薬の組み合わせ
大部分のHIV感染者に推奨される組み合わせ

薬剤の略称は下記の略語を参照、+rtv:少量のrtvを併用。
*1 EVG/cobi/TAF/FTC、TAF/FTCの投与開始時にはクレアチニンクリアランスが30mL/min以上であることを確認すること。
*2 EVG/cobi/TAF/FTC、DTG/ABC/3TC、EVG/cobi/TDF/FTC、RPV/TDF/FTCは1日1回1錠の合剤である。
*3 HLA-B*5701を有する患者(日本人では稀)ではABCの過敏症に注意を要する。ABC投与により心筋梗塞の発症リスクが高まるという報告がある。
*4 RALは2018年6月からRAL600mg錠の2錠(1,200mg)を1日1回内服か、RAL400mgを1日2回内服が可能である。
注(1):ABC/3TC、RPVは血中HIV-RNA量が10万コピー/mL未満の患者にのみ推奨。ただし、DTG/ABC/3TCはその限りではない。
注(2):RAL以外はすべてQD(1日1回内服)。
注(3):以下の薬剤は妊婦にも比較的安全に使用できる(DHHS perinatal guidelines 2017):TDF/FTC、ABC/3TC、DRV+rtv、RAL。
米国DHHS 成人抗HIV治療ガイドライン2)(2018年10月25日版)
初回治療の推奨レジメン
HIVと共に生きる人々に広く推奨されるレジメン
持続的なウイルス学的効果、良好な忍容性及び毒性プロファイル、及び使いやすさが実証されているレジメン

a:3TCはFTCで、FTCは3TCで代替することができる。NRTI2剤の合剤としてABC/3TC、TDF/3TC、TDF/FTC及びTAF/FTCが販売されているほか、単剤としても販売されている。3TCとFTCのどちらを選択するかを判断する際には、各薬剤の費用、適応及びアベイラビリティ等を考慮する必要がある。
b:TAF及びTDFはFDAで承認されたテノホビル製剤である。TAFは、TDFよりも骨や腎臓への毒性作用が軽減されており、一方、TDFでは血中の脂質低下が認められている。
どちらの薬剤を選択するかは、安全性、費用及び適応等を考慮する必要がある。
c:RALは1回400mgを1日2回服用または1日1回1,200mg(600mg錠×2)服用が可能な薬剤である。
※BICは日本未承認

わが国における抗HIV薬選択の基本

抗HIV薬選択の基本

2018年3月の時点で、日本では8種類のヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NRTI)、4種類の非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NNRTI)、8種類のプロテアーゼ阻害剤(PI)、3種類のインテグラーゼ阻害剤(INSTI)、1種類の侵入阻害剤が承認されている。これらの抗ウイルス薬を3~4剤組み合わせて併用する抗レトロウイルス療法(ART)が治療の標準となっている。抗HIV薬の中でHIVを抑制する効果がより強力な薬剤を「キードラッグ」、キードラッグを補足しウイルス抑制効果を高める役割をもつ薬剤を「バックボーン」と呼ぶが、それぞれの分類に関して明確な定義はない。現在は、バックボーンをNRTI 2剤とし、キードラッグを1剤(薬剤によってはブースターを併用)とする組み合わせが一般的である。
しかし、今後新たな作用機序を有する薬剤が開発されたり、既存薬剤の新たな組み合わせの効果が認められたりすれば、このような分類が変化する可能性がある。具体的にどの薬剤を選ぶかについては抗ウイルス効果、副作用、内服しやすさを考慮して決定する。
わが国で実際に使用されている抗HIV薬とARTの組み合わせ
下図は、日笠らが毎年行っている「服薬援助のための基礎的調査」からのデータで、初回治療に処方されたARTメニューの抗HIV薬の組み合わせを示しています。好んで使われる薬剤の組み合わせが、時代とともに変化していることがわかります。
2017年の集計は3月までのデータであり、今後変化する可能性がある点に注意が必要です。
わが国での初回ARTメニューの変化




【トリーメク配合錠の用法・用量】
通常、成人には1回1錠(ドルテグラビルとして50mg、アバカビルとして600mg及びラミブジンとして300mgを含有)を食事の有無にかかわらず1日1回経口投与する。
TRMQ00103-D1902D 改訂年月2019年2月