SPRING-2試験
(第Ⅲ相臨床試験:海外データ)

「警告、禁忌を含む使用上の注意」等はドラッグインフォメーションをご参照ください。
本剤は海外臨床データに基づき承認されたため、審査で評価された海外臨床試験の結果を紹介します。そのため、一部、国内未承認の薬剤の成績が含まれています。
試験概要
【目的】
ラルテグラビル(RAL)を対照薬として、ドルテグラビル(DTG)の非劣性を検証する。
【対象】
抗HIV薬による治療経験のない成人HIV-1感染症患者822例(ベースライン時の血漿中HIV-1 RNA量≧1,000copies/mL)
【方法】
多施設共同、無作為化、ダブルダミーによる二重盲検並行群間比較検証試験(非劣性試験)
対象患者を、DTG 50mgを1日1回投与するDTG群、またはRAL 400mgを1日2回投与するRAL群の2群に無作為に割り付け、投与48週後及び96週後の有効性について、RAL群に対するDTG群の非劣性を検証(投与48週後)及び検討(非劣性マージン10%)するとともに、安全性についても評価した。核酸系逆転写酵素阻害剤(NRTI)は、アバカビル/ラミブジン(ABC/3TC)600mg/300mgまたはテノホビル/エムトリシタビン(TDF/FTC)300mg/200mgをそれぞれ配合剤として1日1回投与した。
【評価項目】
有効性:
主要評価項目:
投与48週後における血漿中HIV-1 RNA量<50copies/mLを達成した患者の割合※1
副次評価項目:
投与96週後における血漿中HIV-1 RNA量<50copies/mLを達成した患者の割合※1、投与48週後/96週後におけるベースライン時の背景療法(NRTI)別抗ウイルス効果※1 など
ウイルス学的エンドポイント:
耐性変異の発現
安全性:
投与48週後/96週後における副作用発現率 など
【解析計画】
DTG群及びRAL群において、非劣性マージンを10%とし、投与48週後/96週後に血漿中HIV-1 RNA量<50copies/mLを達成した患者の割合の両群間の差における95%CIの下限が-10%より大きい場合、DTG群がRAL群に対して非劣性であると検証(投与48週後)及び検討した。さらに、ITT-E集団とper-protocol集団の両方で非劣性が示された場合、引き続き優越性解析を行うことがプロトコールで規定されており、優越性については、95%CIの下限が事前に設定した基準である0%を上回っている場合に検証(投与48週後)及び検討した。なお、両群の奏効率は、Snapshotアルゴリズム解析によって算出し、両群間の奏効率の差は、Cochran-Mantel-Haenszel Weightを用いた層別解析に基づいて調整後、算出した。主要評価項目においては、事前に規定されているサブグループ(ベースライン時の背景療法(NRTI)別)の影響について検討した。さらに、投与24週から48週において血漿中HIV-1 RNA量≧50copies/mLが2回連続及び/または投与48週後に血漿中HIV-1 RNA量≧200copies/mLが検出された場合をウイルス学的治療失敗(PDVF※2)とプロトコールで規定し、PDVFに至った症例における投与48週後/96週後の耐性変異の発現を検討した。
【試験デザイン】
※1 ITT-E集団におけるFDA Snapshotアルゴリズム解析を実施(層別解析にはCochran-Mantel-Haenszel Weightを用いた)
※2 PDVF(Protocol Defined Virologic Failure):プロトコールで規定されたウイルス学的治療失敗
ITT-E集団:無作為化され、1回以上治験薬を投与された集団
抗ウイルス効果:ITT-E集団〔投与48週後及び96週後(主要及び副次評価項目)〕)
投与48週後(主要評価項目)に血漿中HIV-1 RNA量<50copies/mLを達成した患者の割合は、ITT-E集団においてDTG群で88%であり、RAL群に対するDTG群の非劣性が検証されました[調整後の差※1:2.5%(95%CI:-2.2, 7.1)]。また、per-protocol集団においても、DTG群で90%であり、RAL群に対するDTG群の非劣性が検証されました[調整後の差※1: 1.6%(95%CI:-2.7, 5.9)]。
投与96週後(副次評価項目)に血漿中HIV-1 RNA量<50copies/mLを達成した患者の割合は、ITT-E集団においてDTG群で81%であり、RAL群に対するDTG群の非劣性が検討されました[調整後の差※1:4.5%(95%CI:-1.1, 10.0)]。また、per-protocol集団においても、DTG群で83%であり、RAL群に対するDTG群の非劣性が検討されました[調整後の差※1: 3.2%(95%CI:-2.1, 8.6)]。
ウイルス学的治療アウトカム〔投与48週及び96週(副次評価項目、サブグループ解析)〕
投与48週及び96週におけるウイルス学的ノンレスポンスは、背景療法がABC/3TCの症例においてDTG群でそれぞれ7例、10例、RAL群で10例、16例であり、ウイルス学的データが得られなかった患者は、背景療法がABC/3TCの症例においてDTG群でそれぞれ17例、34例、RAL群で12例、24例でした。
背景療法(NRTI 2剤併用療法)別のウイルス学的治療アウトカム(副次評価項目、サブグループ解析)

NRTI:核酸系逆転写酵素阻害剤
(FDA Snapshotアルゴリズム解析)
※1 ウイルス学的治療成功の定義:各エンドポイント時にHIV-1 RNA量<50copies/mLを達成した患者
※2 各エンドポイント以前に、その他の理由(同意の撤回、フォローアップ不可、転居、プロトコールからの逸脱等)で試験薬剤の投与を中止しており、最終来院時のHIV-1 RNA量<50copies/mL未達成であった患者
※3 各エンドポイント以前に認められた有害事象または死亡による試験中止のため、各エンドポイント時のウイルス学的データが欠損となった患者
※4 各エンドポイント以前に、その他の理由(同意の撤回、フォローアップ不可、転居、プロトコールからの逸脱等)で試験薬剤の投与を中止しており、最終来院時のHIV-1 RNA量<50copies/mLであった患者、または最終来院時のウイルス学的データが欠損となった患者
※5 試験薬剤の投与を継続しているが、各エンドポイント時のウイルス学的データが欠損となった患者
耐性変異の発現〔投与48週及び96週(ウイルス学的エンドポイント)〕
投与48週及び96週におけるINSTI、NRTIに対する耐性変異は、DTG群ではいずれも0例でした。
プロトコールで規定されたウイルス学的治療失敗(PDVF)時における耐性変異発現例数(ウイルス学的エンドポイント)

INSTI:HIVインテグラーゼ阻害剤、NRTI:核酸系逆転写酵素阻害剤
※ PDVF(Protocol Defined Virologic Failure)の定義:投与24週から48週においてHIV-1 RNA量≧50copies/mLが2回連続及び/または投与48週後にHIV-1 RNA量≧200copies/mLが検出された場合。
a) T97T/A、E138E/D、V151V/I、N155H
b) A62A/V(n=2)、K65K/R、K70K/E、M184M/I、M184M/V、M184V
c) T97T/A、E138E/D、V151V/I、N155H
d) K65K/R、K70K/E、M184V、A62A/V(n=2)、M184M/I、M184M/V
安全性
本試験における投与96週後の副作用発現率は、DTG群30%(124/411例)、RAL群29%(121/411例)でした。なお、重篤な有害事象がDTG群で41例[感染症及び寄生虫症15件、良性、悪性及び詳細不明の新生物(嚢胞及びポリープを含む)、免疫系障害各4件、胃腸障害、傷害、中毒及び処置合併症、肝胆道系障害、腎及び尿路障害各3件、精神障害、神経系障害、呼吸器、胸郭及び縦隔障害各2件、一般・全身障害及び投与部位の状態異常、血液及びリンパ系障害、筋骨格系及び結合組織障害、心臓障害、耳及び迷路障害、代謝及び栄養障害、社会環境各1件]、RAL群で48例[感染症及び寄生虫症18件、胃腸障害7件、傷害、中毒及び処置合併症、精神障害各6件、悪性及び詳細不明の新生物(嚢胞及びポリープを含む)、神経系障害各4件、一般・全身障害及び投与部位の状態異常3件、肝胆道系障害2件、免疫系障害、呼吸器、胸郭及び縦隔障害、血液及びリンパ系障害、筋骨格系及び結合組織障害、臨床検査値異常、妊娠、産褥及び周産期の状態異常、生殖系及び乳房障害、血管障害各1件]に認められました。死亡例は、DTG群で1例[他殺(薬剤関連性なし)]、RAL群で1例[自殺(薬剤関連性なし)]に認められました。
また、投与中止に至った有害事象がDTG群で10例(C型肝炎、アラニンアミノトランスフェラーゼ増加各2件、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加、血中アルカリフォスファターゼ増加、血中ビリルビン増加、肝機能検査異常、悪心、嘔吐、肝炎、錯乱状態、薬剤過敏症、浮動性めまい、頭痛、発疹、不整脈、異常感、自殺各1件)、 RAL群で10例(C型肝炎、膿瘍、非結核性抗酸菌症、インフルエンザ、ウイルス性リンパ節炎、アラニンアミノトランスフェラーゼ増加、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加、血中クレアチンホスホキナーゼ増加、悪心、舌の血腫、肝炎、肝毒性、自殺既遂、自殺企図、過敏症、痙攣、薬疹、リンパ節腫大、意図的な多量服用、筋肉痛各1件)が認められました。
TRMQ00103-D1902D 改訂年月2019年2月