HIV感染症「治療の手引き」

抗HIV療法をどう行うか

HIV感染症「治療の手引き」第27版(2023年12月発行)

HIV感染症「治療の手引き」

HIV感染症の治療では、抗HIV薬を2剤あるいは3剤以上併用した強力なARTを行う。初回治療では、大部分のHIV感染者に対し推奨される組合せには、INSTI+NRTIを選択する。初回治療患者に推奨されるARTの組合せを表6に、日本で現在承認されている抗HIV薬をHIV感染症「治療の手引き」第27版の表6に示す。

●妊産婦に対するARTについてはHIV感染症「治療の手引き」第27版の32ページ参照。

妊産婦に対するARTについては

QD:1日1回投与、BID:1日2回投与、アルファベット順(同ベース内)、/:配合剤

QD:1日1回投与、

〈INSTI〉
●多価カチオンを含む製剤と同時投与すると、INSTIの血中濃度が低下する可能性がある。
DTG:
●血清クレアチニンが上昇し、クレアチニンクリアランスが低下することがある。
DTG/3TC:
●HIV RNA量<500,000コピー/mLおよびHBVの合併がなく3TC耐性のない患者に推奨される。
RAL:
ブーストしたPI、EFVを含むレジメンと比較して薬物相互作用が少ないため、併用薬の多い患者でも使いやすい。
〈NNRTI〉
RPV:
●2NRTIと組合せた場合、HIV RNA量>100,000コピー/mLまたはCD4<200の患者においてはEFVよりもウイルス学的失敗が多いため、HIV RNA量<100,000コピー/mLおよびCD4>200の患者に推奨される。
●食事中または食直後に服用する。吸収に胃酸を要するためプロトンポンプ阻害薬との併用は禁忌であり、H2遮断薬および制酸薬との併用には注意を要する。
〈NRTI〉
ABC:
●HLA-B*5701を有する患者には使用すべきでない(日本人では稀)。
●心血管系疾患のリスクの高い患者では注意して使用する。
●HIV RNA量≧100,000コピー/mLの患者では、ABC/3TCよりもTDF/FTCの方が、ATV+RTVまたはEFVとの組合せでウイルス抑制効果が高いとの報告がある。
TAF/FTC:
●HBVを合併している患者に効果がある。

INSTI:インテグラーゼ阻害薬、PI:プロテアーゼ阻害薬、NNRTI:非核酸系逆転写酵素阻害薬、NRTI:核酸系逆転写酵素阻害薬

日本エイズ学会 HIV感染症治療委員会:HIV感染症「治療の手引き」第27版,2023年12月発行

PM-JP-HVX-WCNT-240001 作成年月日2024年3月