DOVATO

PASO-DOBLE試験(第Ⅳ相臨床試験)

海外データ

ウイルス学的抑制が得られている成人HIV感染症患者を対象とした非盲検比較検証試験(非劣性試験)

試験概要

【目的】

ウイルス学的抑制が得られたHIV-1感染症患者において、維持療法として2剤併用レジメンのドルテグラビル・ラミブジン(DTG・3TC)またはテノホビル アラフェナミド(TAF)を含む3剤併用レジメンのビクテグラビル・エムトリシタビン・テノホビル アラフェナミド(BIC・FTC・TAF)へ切り替えたときの有効性および安全性を評価する。

【対象】

ウイルス学的抑制が得られている成人HIV-1感染症患者553例[ウイルス学的治療失敗がない(24週間以上にわたって血漿中HIV-1 RNA量が50copies/mL未満)、コビシスタット、エファビレンツ、テノホビルジソプロキシルフマル酸塩のいずれかを含む1日1錠以上の経口レジメンでウイルス学的抑制を達成、DTG、BICの使用歴がない]

【方法】

第Ⅳ相、無作為化、多施設共同、並行群間、非盲検、非劣性試験
対象患者を、スクリーニング時のテノホビル アラフェナミドの有無と出生時の性別で層別化し、並べ替えブロックランダム化して、DTG・3TC(50mg・300mg)を1日1回投与するDTG・3TC群とBIC・FTC・TAF(50mg・200mg・25mg)を1日1回投与するBIC・FTC・TAF群に無作為に割り付けた。患者は、6週時、24週時、48週時にフォローアップを受けた。ベースライン時には、人口統計学的情報、臨床情報、HIVに関する特性が収集された。来院時には、体重と身長の測定を含む身体検査が行われ、少なくとも8時間の絶食後に血液が採取され、生化学検査、CD4細胞数またはCD4陽性細胞数、CD8細胞数またはCD8陽性細胞数、血漿中のHIV-1 RNA濃度が測定された。

有害事象や非抗レトロウイルス薬の使用に関するデータが収集され、食事の質、身体活動、服薬遵守に関する簡易な自己記入式の質問票が記入された。また、妊娠可能な年齢の女性には妊娠検査が実施された。
プロトコールで定義されたウイルス学的失敗(HIV-1 RNA≧50copies/mL、2~4週間後に≧200copies/mLの連続評価)は、中止基準と見なさず、血漿は薬剤耐性遺伝子型検査を行った。

評価項目

【有効性】

主要評価項目:
投与48週時における血漿中HIV-1 RNA量≧50copies/mLであった患者の割合(検証的な解析結果)

副次評価項目:
投与48週時および96週時に血漿中HIV-1 RNA量<50copies/mLであった患者の割合、体重および体格指数(BMI)の絶対変化と、ベースラインに対して体重の変化が >5%あった患者の割合、CD4細胞数またはCD4陽性細胞数、CD8細胞数またはCD8陽性細胞数の変化、ウイルス学的失敗があった場合の遺伝子型耐性変異の有無

サブグループ解析:
以下のカテゴリー別(出生時の性別、年齢、人種、AIDSの既往、CD4細胞数、ベースライン時のヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬(NRTIs)、切り替え前のキードラッグのクラス)の投与48週時における血漿中HIV-1 RNA量<50copies/mLであった患者の割合

【安全性】

有害事象の発生、空腹時血糖・インスリン・糖化ヘモグロビン(HbA1c)・血漿脂質の濃度変化、インスリン抵抗性の評価指標であるHOMA-IR値の変化、肝機能検査の結果、肝線維化の指標であるFibrosis-4指数スコア、eGFR(推算糸球体濾過量)の変化、脂質低下薬、糖尿病治療薬、高血圧治療薬の新規導入が必要となった患者の割合、DXA(二重エネルギーX線吸収法)スキャンによる体組成および骨密度の測定、腹部CTによる腹部脂肪の評価など

【解析計画】

主要評価項目および安全性解析はITT-E集団で行った。主要評価項目の非劣性マージンは4%とし、BIC・FTC・TAF群に対するDTG・3TC群の非劣性を検証した。治療群の差は割合の差としてWaldの信頼区間を用いて算出した。主要評価項目は、スクリーニング時のテノホビル アラフェナミド使用の有無と出生時の性別で調整したCochran-Mantel-Haenszel検定、FDA Snapshotアルゴリズム解析により評価した。また、主要評価項目については、per-protocol集団においても評価した。
さらに、48週時に血漿中HIV-1 RNA量<50copies/mLを達成した患者の割合について、ITT-E集団を用いて非劣性マージンを8%とし、FDA Snapshotアルゴリズム解析で評価した。血漿中HIV-1 RNA量<50copies/mLを達成した患者の割合で定義される有効性について、サブグループ(出生時の性別、年齢、人種または民族、AIDSの既往、CD4陽性リンパ球数、ベースライン時のヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬[NRTI-1:テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩、アバカビル、テノホビルアラフェナミド、NRTI-2:ラミブジン、エムトリシタビン]、切り替え前のキードラッグのクラス[非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬、プロテアーゼ阻害薬、インテグラーゼ阻害薬])における解析を行った。
体重の変化やその他の安全性の結果における評価は、反復測定用の混合モデル(MMRM)が使用された。
欠損データの補完は行われなかった。副次評価項目の解析には、完全なデータを有する患者のみが含まれた。検定は特に明記されていない限り両側検定で行われ、有意水準は5%に設定された。

*: Intention to Treat-Exposed(ITT-E)集団(試験薬を少なくとも1回投与されたすべての患者)

[Ryan P, et al.: Lancet HIV., 12(7):e473-e484(2025) doi: 10.1016/S2352-3018(25)00105-5]
[本試験に関する費用はヴィーブヘルスケア(株)の支援を受けた。著者にはヴィーブヘルスケア(株)を支援した者、ヴィーブヘルスケア(株)が過去に、謝礼、講演料、
研究費等を支払った者が含まれる。また、著者にはヴィーブヘルスケア(株)の社員が含まれる。]

試験デザイン

[Ryan P, et al.: Lancet HIV., 12(7):e473-e484(2025) doi: 10.1016/S2352-3018(25)00105-5]
[本試験に関する費用はヴィーブヘルスケア(株)の支援を受けた。著者にはヴィーブヘルスケア(株)を支援した者、ヴィーブヘルスケア(株)が過去に、謝礼、講演料、
研究費等を支払った者が含まれる。また、著者にはヴィーブヘルスケア(株)の社員が含まれる。]

LImItatIons

● ビクテグラビル・エムトリシタビン・テノホビル アラフェナミドと異なり、ドルテグラビル・ラミブジンは妊婦やB型肝炎患者への投与は推奨されていないため、これらの患者は本試験の除外基準としたこと。

● 非盲険試験であるため、患者および治験責任医師が割り当てられた治療群を知っていることから、バイアスが生じる可能性があったこと。しかし、新規の配合剤単剤に変更するという同一の介入であったため、バイアスの影響は最小限に抑えられたと考えられる。

● 患者を出生時の性別とスクリーニング時のテノホビル アラフェナミドの使用有無で層別化したが、これらが体重増加と関連することが知られていたからである。テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩とエファビレンツの体重抑制との関連性は本試験開始後に明らかにされたこと。

[Ryan P, et al.: Lancet HIV., 12(7):e473-e484(2025) doi: 10.1016/S2352-3018(25)00105-5]
[本試験に関する費用はヴィーブヘルスケア(株)の支援を受けた。著者にはヴィーブヘルスケア(株)を支援した者、ヴィーブヘルスケア(株)が過去に、謝礼、講演料、
研究費等を支払った者が含まれる。また、著者にはヴィーブヘルスケア(株)の社員が含まれる。]

患者背景

n (%)または中央値(IQR)
*:人種または民族は自己申告、**:DTG・3TC群、BIC・FTC・TAF群にはそれぞれ73例のエファビレンツ使用者が含まれていた。
ART:抗レトロウイルス療法、NRTI=ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬

[Ryan P, et al.: Lancet HIV., 12(7):e473-e484(2025) doi: 10.1016/S2352-3018(25)00105-5]
[本試験に関する費用はヴィーブヘルスケア(株)の支援を受けた。著者にはヴィーブヘルスケア(株)を支援した者、ヴィーブヘルスケア(株)が過去に、謝礼、講演料、
研究費等を支払った者が含まれる。また、著者にはヴィーブヘルスケア(株)の社員が含まれる。]

抗ウイルス効果

(投与48週)(主要評価項目:検証的な解析結果)

投与48週時のHIV-1 RNA量≧50 copies/mLであった患者の割合について、DTG・3TC群はBIC・FTC・TAF群に対して非劣性が検証されました(群間差1.4%、95% CI:-0.5~3.4)。

血漿中HIV-1 RNA量≧50copies/mLの患者の割合の群間差(ITT-E集団)

血漿中HIV-1 RNA量<50copies/mLの患者の割合の群間差(ITT-E集団)

[Ryan P, et al.: Lancet HIV., 12(7):e473-e484(2025) doi: 10.1016/S2352-3018(25)00105-5]
[本試験に関する費用はヴィーブヘルスケア(株)の支援を受けた。著者にはヴィーブヘルスケア(株)を支援した者、ヴィーブヘルスケア(株)が過去に、謝礼、講演料、
研究費等を支払った者が含まれる。また、著者にはヴィーブヘルスケア(株)の社員が含まれる。]

CD4陽性リンパ球数およびCD8陽性リンパ球数の変化

(副次評価項目)

CD4陽性リンパ球数、CD8陽性リンパ球数のベースラインからの平均変化量は、両群間で有意差は認められませんでした

*スクリーニング時のテノホビル アラフェナミド使用の有無と出生時の性別で調整した
Cochran-Mantel-Haenszel検定

CD4陽性リンパ球数のベースラインからの変化

CD8陽性リンパ球数のベースラインからの変化

[Ryan P, et al.: Lancet HIV., 12(7):e473-e484(2025) doi: 10.1016/S2352-3018(25)00105-5]
[本試験に関する費用はヴィーブヘルスケア(株)の支援を受けた。著者にはヴィーブヘルスケア(株)を支援した者、ヴィーブヘルスケア(株)が過去に、謝礼、講演料、
研究費等を支払った者が含まれる。また、著者にはヴィーブヘルスケア(株)の社員が含まれる。]

CVFが認められた患者における耐性変異発現

(投与48週)(副次評価項目)

プロトコールで定義されたウイルス学的失敗の基準を満たした患者がBIC・FTC・TAF群の1例に認められましたが、耐性変異の発現は認められませんでした。

dovato

※プロトコールで定義されたCVF(Confirmed Virologic Failure):血漿中HIV-1 RNA量≧50copies/mL、2~4週後に血漿中HIV-1RNA量≧200copies/mL

[Ryan P, et al.: Lancet HIV., 12(7):e473-e484(2025) doi: 10.1016/S2352-3018(25)00105-5]
[本試験に関する費用はヴィーブヘルスケア(株)の支援を受けた。著者にはヴィーブヘルスケア(株)を支援した者、ヴィーブヘルスケア(株)が過去に、謝礼、講演料、
研究費等を支払った者が含まれる。また、著者にはヴィーブヘルスケア(株)の社員が含まれる。]

抗ウイルス効果

(投与48週)(サブグループ解析)

HIV感染者におけるRNA量<50copies/mLの割合

NRTI:ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬、NRTI-1:テノホビル ジソプロキシル フマル酸塩、アバカビル、テノホビル アラフェナミド、NRTI-2:ラミブジン、エムトリシタビン、TAF:テノホビル アラフェナミド、ABC:アバカビル、TDF:テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩、3TC:ラミブジン、FTC:エムトリシタビン、NNRTI:非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬、INSTI:インテグラーゼ阻害薬、PI:プロテアーゼ阻害薬

[Ryan P, et al.: Lancet HIV., 12(7):e473-e484(2025) doi: 10.1016/S2352-3018(25)00105-5]より改変
[本試験に関する費用はヴィーブヘルスケア(株)の支援を受けた。著者にはヴィーブヘルスケア(株)を支援した者、ヴィーブヘルスケア(株)が過去に、謝礼、講演料、
研究費等を支払った者が含まれる。また、著者にはヴィーブヘルスケア(株)の社員が含まれる。]

>5%の体重増加を示した患者の割合【参考情報】

(投与6週、24週、48週)(副次評価項目)

[Ryan P, et al.: Lancet HIV., 12(7):e473-e484(2025) doi: 10.1016/S2352-3018(25)00105-5]
[本試験に関する費用はヴィーブヘルスケア(株)の支援を受けた。著者にはヴィーブヘルスケア(株)を支援した者、ヴィーブヘルスケア(株)が過去に、謝礼、講演料、
研究費等を支払った者が含まれる。また、著者にはヴィーブヘルスケア(株)の社員が含まれる。]

BMI分類の変化【参考情報】

(投与6週、24週、48週)(副次評価項目)

[Ryan P, et al.: Lancet HIV., 12(7):e473-e484(2025) doi: 10.1016/S2352-3018(25)00105-5]
[本試験に関する費用はヴィーブヘルスケア(株)の支援を受けた。著者にはヴィーブヘルスケア(株)を支援した者、ヴィーブヘルスケア(株)が過去に、謝礼、講演料、
研究費等を支払った者が含まれる。また、著者にはヴィーブヘルスケア(株)の社員が含まれる。]

体重変化【参考情報】

(投与6週、24週、48週)(副次評価項目)

[Ryan P, et al.: Lancet HIV., 12(7):e473-e484(2025) doi: 10.1016/S2352-3018(25)00105-5]
[本試験に関する費用はヴィーブヘルスケア(株)の支援を受けた。著者にはヴィーブヘルスケア(株)を支援した者、ヴィーブヘルスケア(株)が過去に、謝礼、講演料、
研究費等を支払った者が含まれる。また、著者にはヴィーブヘルスケア(株)の社員が含まれる。]

脂質、糖代謝、骨、腎への影響(安全性)

脂質への影響

● 48週時における総コレステロール値、トリグリセリドのベースラインからの平均変化量は、両群ともに約-10mg/dL、約-20m/dLであった。

*性別、前治療レジメンにおけるTAFの有無、年齢、人種で調整済み

● 脂質降下薬は、ベースライン時にDTG・3TC群では22.4%(62/277例)に処方されていたが、48週時点では新たに4例に処方された。

糖代謝への影響

● 48週時における血糖値のベースラインからの平均変化量は、DTG・3TC群で約-2mg/dL、BIC・FTC・TAF群で0mg/dL、HOMA-IR(インスリン抵抗性)の平均変化量は、両群とも-0.5未満であった。

*性別、前治療レジメンにおけるTAFの有無、年齢、人種で調整済み

● 糖尿病治療薬は、ベースライン時にDTG・3TC群では2.9%(8/277例)に処方されていたが、48週時点では新たに2例に処方された。

肝や骨への影響

● 48週時におけるアルカリホスファターゼのベースラインからの平均変化量は、両群とも-6~-8IU/Lであった。

*性別、前治療レジメンにおけるTAFの有無、年齢、人種で調整済み

● 糖尿病治療薬は、ベースライン時にDTG・3TC群では2.9%(8/277例)に処方されていたが、48週時点では新たに2例に処方された。

腎への影響

● 48週時における推算糸球体濾過量(CKD-EPI法)のベースラインからの平均変化量は、両群ともに約-4mL/minであった。

*性別、前治療レジメンにおけるTAFの有無、年齢、人種で調整済み

[Ryan P, et al.: Lancet HIV., 12(7):e473-e484(2025) doi: 10.1016/S2352-3018(25)00105-5]
[本試験に関する費用はヴィーブヘルスケア(株)の支援を受けた。著者にはヴィーブヘルスケア(株)を支援した者、ヴィーブヘルスケア(株)が過去に、謝礼、講演料、
研究費等を支払った者が含まれる。また、著者にはヴィーブヘルスケア(株)の社員が含まれる。]

安全性(1)

*投与中止に至った有害事象:DTG・3TC群1例(全身の不快感および関節痛)、BIC・FTC・TAF群2例(不眠症、睡眠障害それぞれ1例)

[Ryan P, et al.: Lancet HIV. 2025 Jun 6:S2352-3018(25)00105-5. doi: 10.1016/S2352-3018(25)00105-5]
[本試験に関する費用はヴィーブヘルスケア(株)の支援を受けた。著者にはヴィーブヘルスケア(株)を支援した者、ヴィーブヘルスケア(株)が過去に、謝礼、講演料、
研究費等を支払った者が含まれる。また、著者にはヴィーブヘルスケア(株)の社員が含まれる。]

安全性(2)

[Ryan P, et al.: Lancet HIV., 12(7):e473-e484(2025) doi: 10.1016/S2352-3018(25)00105-5]
[本試験に関する費用はヴィーブヘルスケア(株)の支援を受けた。著者にはヴィーブヘルスケア(株)を支援した者、ヴィーブヘルスケア(株)が過去に、謝礼、講演料、
研究費等を支払った者が含まれる。また、著者にはヴィーブヘルスケア(株)の社員が含まれる。]

PM-JP-DLL-WCNT-220004 | 作成年月2025年11月