ATLAS-2M試験

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ボカブリア水懸筋注およびリカムビス®水懸筋注は、海外臨床データに基づき承認されたため、審査で評価された海外臨床試験の結果を紹介します。

ATLAS-2M試験(海外データ)

ウイルス学的抑制が得られている成人HIV-1感染症患者を対象とした非盲検比較検証試験(非劣性試験)

試験概要

【目  的】
抗レトロウイルス療法(ART)による治療経験のある成人HIV-1感染症患者において、カボテグラビル(CAB)注射剤+リルピビリン(RPV)注射剤の2ヵ月間隔投与の1ヵ月間隔投与に対する有効性の非劣性を検証するとともに、安全性、忍容性を検討する。

【対  象】
経口ARTにより6ヵ月以上、ウイルス学的抑制が得られている成人(18歳以上)HIV-1感染症患者1045例(スクリーニング時の血漿中HIV-1 RNA量<50copies/mL、ATLAS試験において投与52週以上を完了している患者を含む)

【方  法】
多施設共同、無作為化、非盲検、並行群間比較、実薬対照、第Ⅲb相非劣性検証試験(非劣性試験)
本試験は、スクリーニング期(35日)、維持療法期(100週)、延長療法期の3期で構成されている。
対象患者は、経口ARTを投与中の患者とATLAS試験から移行した患者からなっている。
対象患者を1:1の割合で、CAB注射剤+RPV注射剤の4週間隔投与(Q4W)群と8週間隔投与(Q8W)群の2群に無作為に割り付けた。ただし、ATLAS試験を含めて、経口ARTを投与中の患者には、CAB経口剤30mg+RPV経口剤25mgを1日1回、28日間(4週間)経口投与後、CAB注射剤+RPV注射剤を96週間以上、筋肉内投与した。Q4W群では、CAB注射剤の用量は1回目600mg、2回目以降400mg、RPV注射剤の用量は1回目900mg、2回目以降600mgとし、以後、4週間隔で投与した。Q8W群では、CAB注射剤600mg、RPV注射剤900mgを4週及び8週に投与し、以後、8週間隔で投与した。また、ATLAS試験でCAB注射剤+RPV注射剤(4週間隔投与)を投与されていた患者には、Q4W群ではCAB注射剤400mg+RPV注射剤600mg、Q8W群ではCAB注射剤600mg+RPV注射剤900mgを100週間以上、筋肉内投与した。維持療法期終了後、延長療法期ではCAB注射剤+RPV注射剤のQ4WまたはQ8Wを継続する選択肢が与えられた。

【評価項目】
有効性:
主要評価項目(検証的な解析):投与48週後に血漿中HIV-1 RNA量≧50copies/mLが確認された患者の割合※1
主要な副次評価項目:投与48週後に血漿中HIV-1 RNA量<50copies/mLを達成した患者の割合※1


その他の副次評価項目:投与96週後、152週後に血漿中HIV-1 RNA量≧50copies/mLが確認された患者の割合※1、投与96週後、152週後に血漿中HIV-1 RNA量<50copies/mLを達成した患者の割合※1、投与48週後、96週後、152週後にウイルス学的治療失敗(CVF)※2に至った患者の割合、投与48週後、96週後、152週後のウイルス学的治療アウトカム、投与48週後、96週後、152週後の血漿中HIV-1 RNA量及びCD4陽性リンパ球数のベースラインからの変化量 など

ウイルス学的エンドポイント:投与48週後、96週後及び152週後にCVFが認められた患者における耐性変異の発現 など

ヘルスケアアウトカムエンドポイント:投与24週後、48週後、152週後における治療満足度(HIVTSQs※3総スコア)への影響、治療法の選好性への影響 など

安全性:有害事象の発現率、重症度、臨床検査値異常、注射部位反応 など

【解析計画】
投与48週後/96週後/152週後における有効性(主要、主要な副次及びその他の副次評価項目)については、非劣性マージンを4%未満(主要評価/その他の副次評価)及び-10%(主要な副次評価/その他の副次評価)とし、Q4W群に対するQ8W群の非劣性を検証(主要評価)及び検討(主要な副次評価/その他の副次評価)した。有効性の主要評価項目は、ITT-E集団※4を用いて、FDA Snapshotアルゴリズム解析により算出した。同様に、主要な副次評価項目も、ITT-E集団を用いたFDA Snapshotアルゴリズム解析により評価した。また、主要評価項目及び主要な副次評価項目において、両群間における患者の割合と95%信頼区間の差は、層別化因子〔本試験を開始する前のCAB注射剤+RPV注射剤(4週間隔)の投与歴:0週、1~24週、>24週〕による調整後、層別Cochran-Mantel-Haenszel解析に基づき算出した。なお、主要評価項目と主要な副次評価項目は、per-protocol集団※5においても評価した(感度分析)。
また、主要評価項目及び主要な副次評価項目については、事前に規定されているサブグループ[性別(女性、男性)、年齢(<35、35~49、≧50)、人種(白人、白人以外、黒人/アフリカ系アメリカ人、黒人以外)、国籍(アルゼンチン、オーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、韓国、メキシコ、ロシア、南アフリカ、スペイン、スウェーデン、米国)、ベースライン時のCD4陽性リンパ球数(<350、350~499、≧500)、ベースライン時のHIV-1 RNA量(<50、≧50)、CAB注射剤+RPV注射剤の投与歴(0週、≧1週)、ベースライン時のBMI(<30、≧30)、ベースライン時のART(CAB注射剤+RPV注射剤、NNRTI、INSTI、PI)]によって評価し、サブグループの群間差の解析にはχ2検定、95%信頼区間の群間差の解析には2 inverted片側検定を用いた。両群間におけるHIVTSQs総スコアを用いた治療満足度は、投与24週後、48週後のベースラインからの変化量を比較検討し、その解析にはANCOVA※6を用いた。治療法の選好性は、投与48週後に、選択形式の質問により評価した。安全性の解析対象は、安全性解析対象集団※7とした。

※1 ITT-E集団、per-protocol集団におけるFDA Snapshotアルゴリズム解析を実施

※2 ウイルス学的治療失敗(CVF):血漿中HIV-1 RNA量<200copies/mLに抑制された後、血漿中HIV-1 RNA量≧200copies/mLが2回連続して検出された場合

※3 HIVTSQs:HIVにおける治療満足度質問票

※4 ITT-E集団:無作為化後、1回以上治験薬を投与された集団

※5 per-protocol集団:ITT-E集団からプロトコール逸脱例を除外した集団

※6 共変量:年齢(50歳未満、50歳以上)、性別、人種(白人、白人以外)、ベースライン時のスコア値

※7 安全性解析対象集団:無作為化後、1回以上治験薬を投与された集団

本邦で承認されたボカブリア水懸筋注およびリカムビス®水懸筋注の用法及び用量は、 1ヵ月間隔投与(CAB注射剤600mg及びRPV注射剤900mgを投与し、以降はそれぞれ400mg、600mgを1ヵ月に1回投与)および2ヵ月間隔投与(CAB注射剤600mg及びRPV注射剤900mgを投与し、初回投与後1ヵ月後にそれぞれ600mg、900mgを投与、以降はそれぞれ600mg、900mgを2ヵ月に1回投与)です。

引用文献

  1. Overton, E.T., et al.: Lancet 396(10267), 1994-2005(2020)
    [本試験に関する費用は、ヴィーブヘルスケア(株)及びヤンセンファーマ(株)の支援を受けた。著者には、ヴィーブヘルスケア(株)及びヤンセンファーマ(株)の社員が含まれる。]
  2. Jaeger, H., et al.: Lancet HIV 8(11), e679-e689(2021)
    [本試験に関する費用は、ヴィーブヘルスケア(株)及びヤンセンファーマ(株)の支援を受けた。著者には、ヴィーブヘルスケア(株)及びヤンセンファーマ(株)の社員が含まれる。]
  3. Overton,E.T.,et al.:Clin Infect Dis 76(9),1646-1654(2023)
    [本試験に関する費用は、ヴィーブヘルスケア(株)及びヤンセンファーマ(株)の支援を受けた。著者には、ヴィーブヘルスケア(株)及びヤンセンファーマ(株)の社員が含まれる。]
  4. 承認時評価資料:海外臨床試験(207966)

PM-JP-CBR-WCNT-220004 | 作成年月2023年12月