FLAIR試験

「禁忌を含む注意事項等情報」等は、ドラッグインフォメーションをご参照ください。

FLAIR試験(日本人を含む海外データ)

抗HIV薬による治療経験のない成人HIV-1感染症患者を対象とした非盲検比較検証試験(非劣性試験)

試験概要

【目  的】
抗HIV薬による治療経験のない成人HIV-1感染症患者において、経口ARTによるウイルス学的抑制が得られた後、経口ARTの継続群に対するカボテグラビル(CAB)注射剤+リルピビリン(RPV)注射剤〔1ヵ月間隔:筋肉内投与〕への切り替え群の有効性の非劣性を検証するとともに、安全性、忍容性を検討する。

【対  象】
抗HIV薬による治療経験のない成人(18歳以上)HIV-1感染症患者629例(ベースライン時の血漿中HIV-1 RNA量≧1,000copies/mL)

【方  法】
多施設共同、無作為化、非盲検、並行群間比較、実薬対照、第Ⅲ相非劣性検証試験(非劣性試験)
本試験は、スクリーニング期(35日)、導入療法期(20週)、維持療法期(100週)、延長療法期、長期追跡調査期の5期で構成されている。導入療法期には、ドルテグラビル(DTG)50mg・アバカビル(ABC)600mg・ラミブジン(3TC)300mg(固定用量)を1日1回、20週間経口投与した。ただし、HLA-B5701陽性の場合は、DTGとABC以外の核酸系逆転写酵素阻害剤(NRTI)2剤を投与した。導入療法期の16週時に血漿中HIV-1 RNA量<50copies/mLを達成した患者は、維持療法期に移行した。維持療法期では、対象患者を1:1の割合で、DTG・ABC・3TCの1日1回経口投与を継続する群(DTG・ABC・3TC群)と、CAB経口剤30mg+RPV経口剤25mgの1日1回経口投与(4週間以上)後にCAB注射剤(1回目600mg、2回目以降400mg)+RPV注射剤(1回目900mg、2回目以降600mg)を4週間隔で臀部に筋肉内投与する群(CAB+RPV群)に無作為に割り付け、それぞれ100週間、96週間投与した。維持療法期でDTG・ABC・3TCが継続投与され、投与96週に血漿中HIV-1 RNA量<50copies/mLを達成した患者は、延長療法期に移行し、任意でCAB注射剤+RPV注射剤の筋肉内投与に切り替えるか、または試験を終了した。維持療法期にCAB注射剤+RPV注射剤を筋肉内投与された患者は、延長療法期に移行し、投与を継続した。その後、何らかの理由でCAB注射剤+RPV注射剤の筋肉内投与を中止した患者は、52週間の長期追跡調査期に移行し、経口ARTを実施した。

【評価項目】
有効性:
主要評価項目(検証的な解析):投与48週後に血漿中HIV-1 RNA量≧50copies/mLが確認された患者の割合※1
主要な副次評価項目:投与48週後に血漿中HIV-1 RNA量<50copies/mLを達成した患者の割合※1
その他の副次評価項目:投与96週後、124週後における血漿中HIV-1 RNA量≧50copies/mLが確認された患者の割合※1、投与96週後、124週後における血漿中HIV-1 RNA量<50copies/mLを達成した患者の割合※1、投与48週後、96週後、124週後にウイルス学的治療失敗(CVF)※2に至った患者の割合、投与48週後、96週後、124週後の血漿中HIV-1 RNA量及びCD4陽性リンパ球数のベースラインからの変化量、投与48週後、96週後、124週後のウイルス学的治療アウトカム、投与48週後、96週後、124週後のウイルス学的治療失敗(CVF)時の耐性変異の発現 など
安全性:有害事象の発現率、重症度、臨床検査値異常、注射部位反応 など

【解析計画】
投与48週後/96週後/124週後における有効性(主要、主要な副次及びその他の副次評価項目)については、非劣性マージンを6%未満(主要評価/その他の副次評価)及び-10%(主要な副次評価/その他の副次評価)とし、DTG・ABC・3TC群に対するCAB+RPV群の非劣性を検証(主要評価)及び検討(主要な副次評価/その他の副次評価)した。有効性の主要評価項目は、ITT-E集団※3を用いて、FDA Snapshotアルゴリズム解析により算出した。同様に、主要な副次評価項目も、ITT-E集団を用いたFDA Snapshotアルゴリズム解析により評価した。また、主要評価項目及び主要な副次評価項目において、両群間における患者の割合と95%信頼区間の調整後の差は、層別化因子(導入療法期のベースライン時:血漿中HIV-1 RNA量:<100,000、≧100,000及び性別)による調整後、層別Cochran-Mantel-Haenszel解析に基づき算出した。なお、主要評価項目と主要な副次評価項目は、per-protocol集団※4においても評価した。また、主要評価項目については、事前に規定されているサブグループ[性別(女性、男性)、年齢(<35、35~49、≧50)、BMI(<30、≧30)、人種(白人、白人以外、黒人/アフリカ系アメリカ人、黒人以外)、国籍(西ヨーロッパ/北アメリカ、ロシア、日本、南アフリカ)、ベースライン時のCD4陽性リンパ球数(<200、200~349、350~499、≧500)、1日目のCD4陽性リンパ球数(<350、350~499、≧500)、ベースライン時のHIV-1 RNA量(<100,000、≧100,000)、HIV-1 サブタイプ(A、A1、AE、AG、B、C、その他、不明)、ベースライン時のL74I(あり、なし)]によって評価し、サブグループにおける群間差の95%信頼区間の解析には2 inverted片側検定を用いた。安全性の解析対象は、安全性解析対象集団※5とした。

※1 ITT-E集団、per-protocol集団におけるFDA Snapshotアルゴリズム解析を実施

※2 ウイルス学的治療失敗(CVF):血漿中HIV-1 RNA量≧200copies/mLが2回連続して検出された場合

※3 ITT-E集団:維持療法期に1回以上治験薬を投与された集団

※4 per-protocol集団:ITT-E集団からプロトコール逸脱例を除外した集団

※5 安全性解析対象集団:維持療法期に1回以上治験薬を投与された集団

本邦で承認されたボカブリア水懸筋注およびリカムビス®水懸筋注の用法及び用量は、 1ヵ月間隔投与(CAB注射剤600mg及びRPV注射剤900mgを投与し、以降はそれぞれ400mg、600mgを1ヵ月に1回投与)および2ヵ月間隔投与(CAB注射剤600mg及びRPV注射剤900mgを投与し、初回投与後1ヵ月後にそれぞれ600mg、900mgを投与、以降はそれぞれ600mg、900mgを2ヵ月に1回投与)です。

引用文献

  1. Orkin, C., et al. : N Engl J Med 382(12), 1124-1135(2020)
    [本試験に関する費用は、ヴィーブヘルスケア(株)及びヤンセンファーマ(株)の支援を受けた。著者には、ヴィーブヘルスケア(株)及びヤンセンファーマ(株)の社員が含まれる。]
  2. 承認時評価資料:国際共同第Ⅲ相試験(201584)

PM-JP-CBR-WCNT-220004 | 作成年月2023年12月